毛細血管拡張症(もうさいけっかんかくちょうしょう、英: telangiectasia)は、皮膚の表面近くにある毛細血管が拡張して、赤や紫の線状や網目状の模様が皮膚に現れる状態を指します。この状態は顔、特に頬や鼻周りに現れることが多いですが、体の他の部位にも現れることがあります。見た目は「赤ら顔」や「クモの巣状の血管」として認識されることがあります。

1. 毛細血管拡張症の原因

毛細血管拡張症の原因は多岐にわたり、外的要因や遺伝的な要因、その他の病気と関連することがあります。

1.1 外的要因

  • 紫外線の影響: 長期間にわたり紫外線を浴びることで、皮膚や毛細血管がダメージを受け、血管が拡張することがあります。
  • 寒暖差: 急激な温度変化や寒冷刺激が繰り返されることで、血管が過剰に反応し、拡張状態が慢性化することがあります。
  • 過度なスキンケア: 強いピーリングや過剰な洗顔など、肌に対する過剰な刺激が血管を拡張させることがあります。
  • アルコールや辛い食べ物: アルコールや香辛料が血管を拡張させ、一時的に血管が目立つことがあります。

1.2 遺伝的要因

  • 遺伝性の素因: 一部の人は遺伝的に毛細血管拡張症が起こりやすい体質を持っています。例えば、**酒さ(ロザイシア)**という疾患は遺伝的要因が大きく、顔の血管が広がりやすい特徴があります。

1.3 その他の要因や疾患

  • ホルモンの変化: 妊娠や更年期など、ホルモンバランスの変化によって血管が拡張しやすくなることがあります。
  • 加齢: 年齢とともに皮膚の弾力が低下し、血管も脆くなり、拡張しやすくなります。
  • 基礎疾患: 毛細血管拡張症は、以下のような病気と関連していることがあります。
    • 酒さ(ロザイシア): 顔面に毛細血管の拡張や赤みが現れる慢性的な炎症性疾患。
    • 膠原病: 特に全身性硬化症など、一部の膠原病は毛細血管拡張を伴います。
    • 遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT): 稀な遺伝性疾患で、鼻血や消化器からの出血とともに毛細血管拡張が見られることがあります。

2. 症状と見た目

毛細血管拡張症は以下のような外見上の特徴を持っています。

  • 赤や紫の線状・網目状の模様: 拡張した毛細血管が皮膚の表面に透けて見え、細い線状や網目状の模様が浮かび上がります。クモの巣のような形に見えることもあります。
  • 顔に出やすい: 特に鼻の周り、頬、あご、額など、顔の中央部に出現することが多いです。
  • 一時的な赤み: 刺激(寒暖差、感情の変化、食事など)によって一時的に血管が拡張し、顔が赤く見えることがあります。

3. 診断方法

毛細血管拡張症の診断は、主に視診によって行われます。医師は皮膚の状態や既往歴、現在の症状を確認し、必要に応じて以下のような検査が行われることがあります。

  • 皮膚の拡大観察: ダーモスコープなどを用いて拡大して血管の状態を詳しく観察します。
  • 基礎疾患の有無の確認: 肝臓疾患や膠原病などが関連する場合、その診断や検査も行われることがあります。

4. 治療方法

毛細血管拡張症は、見た目の問題が主な症状であるため、治療は美観的な理由から行われることが多いです。根本的な治療は困難な場合がありますが、以下の方法で症状を緩和することが可能です。

4.1 レーザー治療

  • レーザー治療は、最も一般的で効果的な治療法です。レーザーが拡張した血管に吸収され、血管が凝固・消失することで、目立たなくします。具体的には、パルス染料レーザーNdレーザーなどが用いられます。治療回数は個人差がありますが、複数回にわたることが多いです。

4.2 光治療(IPL)

  • **IPL(光治療)**も毛細血管拡張症に効果があります。IPLは広範囲に光を照射することで、血管の赤みや皮膚の色調の改善を図ります。レーザーよりもマイルドな治療ですが、効果を実感するまでに数回の施術が必要です。

4.3 内服薬や外用薬

  • トラネキサム酸ビタミンC誘導体などの薬剤が使用されることもありますが、血管拡張そのものを治療する効果は限定的です。ただし、血管の脆弱性を改善する目的で使用されることがあります。

4.4 基礎疾患の治療

  • 膠原病や酒さ(ロザイシア)が原因の場合、これらの疾患の治療が優先されます。抗炎症薬や免疫抑制薬が使用されることがあります。

5. 日常生活でのケアと予防

毛細血管拡張症の症状を軽減するためには、以下のような日常生活の工夫が役立ちます。

5.1 紫外線対策

紫外線は血管をさらに拡張させる要因となるため、日焼け止めを毎日使用し、日傘や帽子での物理的な遮光を心がけましょう。

5.2 寒暖差のコントロール

寒冷刺激や急激な温度変化を避けるため、寒い場所では保温を心がけ、極端な熱湯や冷水での洗顔は避けることが大切です。

5.3 過剰な刺激を避ける

過剰な摩擦や強いピーリング、スキンケア製品による刺激は血管を傷める原因になるため、肌に優しいケアを心がけましょう。

5.4 食事とライフスタイルの見直し

アルコールや香辛料の過剰摂取は血管を拡張させるので、適度に抑えることが推奨されます。また、ストレス管理や十分な睡眠も血管の健康を保つために重要です。


6. 予後とリスク

毛細血管拡張症は、命に関わる疾患ではなく、主に見た目の問題として捉えられます。ただし、放置すると見た目が悪化することがあるため、適切な治療やケアを行うことで症状を軽減できます。また、基礎疾患が原因の場合は、その疾患の治療が優先されます。

 

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