老人性血管腫(ろうじんせいけっかんしゅ、Cherry Angiomaとも呼ばれます)は、40歳以上の中高年に多く見られる良性の血管腫で、皮膚の表面に小さな赤いまたは紫色の点状の腫瘍として現れます。この血管腫は、名前に「老人性」とありますが、若い人でも発生することがあります。血管の異常な拡張や成長が原因で発生し、基本的には健康に悪影響を与えないものです。

老人性血管腫の特徴

  1. 外見と形状:

    • 小さな赤色や紫色の点のような外見を持ち、多くの場合、直径1~5mm程度の大きさです。
    • 平らなものもあれば、少し盛り上がったものもあり、時にドーム状の形をしていることもあります。
  2. 出現部位:

    • 主に体幹(胸や腹、背中)に見られますが、腕や脚、顔などにも現れることがあります。
    • 一つだけでなく、複数が同時に発生することが多いです。
  3. 痛みやかゆみ:

    • 一般的に痛みやかゆみは伴わないため、見た目以外に身体に不快感を与えることはほとんどありません。
    • 稀に衣服やアクセサリーで擦れたり、誤って引っ掻いたりすると出血することがあります。

原因

老人性血管腫の正確な原因は不明ですが、いくつかの要因が関与していると考えられています。

  1. 加齢:

    • 年齢が上がるとともに発生することが多く、血管や皮膚の組織が老化することで血管腫が形成されやすくなると考えられています。
  2. 遺伝的要因:

    • 家族歴のある人に多く見られるため、遺伝的な素因が影響している可能性もあります。
  3. 環境的要因:

    • 紫外線への長期曝露や、皮膚への慢性的なダメージも血管腫の発生に影響を与えることがあります。
  4. ホルモンの変化:

    • ホルモンの変動も関連している可能性があり、妊娠中やホルモンバランスの変化によって発生が増加することがあると言われています。
  5. 化学物質:

    • 一部の研究では、特定の化学物質への長期曝露が老人性血管腫の発生を増加させる可能性があるとされています。

治療法

老人性血管腫は良性であり、通常は治療が不要です。しかし、美容上の理由や出血のリスクを避けるために取り除きたい場合があります。その場合、以下の治療法が利用されます。

  1. レーザー治療:

    • レーザーを使って血管腫を破壊し、消失させる方法です。特に、パルスレーザーCO2レーザーが効果的です。
  2. 電気凝固術:

    • 高周波電流を用いて血管腫を焼灼する治療法です。出血を伴う場合でも効果的です。
  3. クライオセラピー(凍結療法):

    • 液体窒素を使って血管腫を凍結させ、縮小または消失させる治療法です。傷跡が残りにくいのが特徴です。
  4. 外科的切除:

    • 小さな血管腫は、局所麻酔下で外科的に切除することが可能です。この方法は、確実に取り除きたい場合に選ばれることがあります。

合併症や注意点

  • 基本的に合併症はほとんどなく、悪性化することもありません。ただし、頻繁に出血する場合や、見た目が急に変化した場合(大きくなる、色が濃くなるなど)は、まれに悪性腫瘍との鑑別が必要になることがあります。その際は皮膚科医の診察を受けることが推奨されます。

  • また、レーザー治療や電気凝固などの治療を受けた後、傷跡が残る可能性がありますが、ほとんどの場合は軽微です。

老人性血管腫と他の皮膚疾患との鑑別

  • 老人性血管腫は、外見が他の皮膚疾患と似ていることがあるため、自己診断は避け、必要に応じて皮膚科医による診断を受けることが推奨されます。例えば、基底細胞がんメラノーマなどの皮膚がんとは外見が似ていることがあるため、慎重な鑑別が必要です。

まとめ

老人性血管腫は、主に加齢に伴って発生する良性の血管腫で、通常は治療の必要がありません。見た目が気になる場合や、出血が頻繁に起こる場合は、レーザー治療や電気凝固術で取り除くことが可能です。

 

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