後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)は、真皮層(皮膚の深い部分)にメラノサイトが増殖し、色素沈着を引き起こす疾患です。このため、表皮に存在するメラニン色素をターゲットとする通常のレーザー治療では、ADMを効果的に取り除くのが難しくなっています。以下に、ADMがレーザー治療で取りにくい理由を詳しく説明します。
1. メラノサイトの深さ
ADMは、真皮層にメラニンが沈着しているため、通常のレーザー治療がターゲットとする表皮層よりもはるかに深い部分に存在します。例えば、Qスイッチルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーは、主に表皮に存在するメラニンをターゲットにしますが、ADMの色素は真皮の深部にあるため、これらのレーザーでは十分な効果が得られない場合があります。
2. レーザーの波長の問題
レーザー治療の効果は、メラニン色素の吸収特性と波長の関係に依存します。メラニンは特定の波長で吸収されやすく、ルビーレーザー(694nm)やアレキサンドライトレーザー(755nm)は表皮のメラニンに効果的ですが、真皮層の深い部分に存在するメラニンには十分な効果を発揮しません。真皮層まで届くNdレーザー(1064nm)でも、深部のメラニンに完全に届かないことがあります。
3. メラノサイトの数と分布
ADMでは、メラノサイトが真皮層に不規則に分布しているため、レーザー治療での完全な除去が困難です。レーザーはメラニンをターゲットにして破壊しますが、真皮層に広がるメラノサイトを完全に処理するのは難しく、何回も治療を行う必要があります。
4. 皮膚の回復とリスク
ADMの治療には、通常よりも強力なレーザーを使用することが必要ですが、強力なレーザーは皮膚へのダメージや副作用(色素沈着の悪化や瘢痕化)のリスクも高まります。特にアジア人の肌では、レーザー治療後に色素沈着が起こりやすいため、慎重な治療が求められます。
5. 治療の限界
ADMは一度発症すると完治が難しい場合があり、レーザー治療で色素が薄くなることはあっても、完全に消すことができないケースが多いです。また、再発の可能性もあり、複数回の治療が必要になることが一般的です。
まとめ
後天性真皮メラノサイトーシスがレーザーで取れにくいのは、メラニンが皮膚の深い真皮層に存在するため、通常のレーザーが届きにくく、治療が困難になることが原因です。さらに、真皮層に存在するメラノサイトの分布や、皮膚の回復リスクも考慮すると、レーザー治療だけでは十分な効果が得られない場合があります。このため、複数回の治療が必要となり、場合によっては他の治療法と併用することが考えられます。
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