まとめ(先に要点)
放置すると大きくなる・炎症を繰り返す→皮膚が薄く伸び、赤み・色素沈着・瘢痕(きずあと)が残りやすくなります。
破裂や感染が起こると、強い痛み・悪臭・膿(うみ)が出て、切開排膿が必要になることがあります。
炎症を繰り返すと皮膚のトンネル(瘻孔)やへこみ(陥凹瘢痕)が残り、見た目の修正が難しくなることも。
根治には被膜ごとの摘出が基本。炎症が落ち着いた時期の計画的な手術が、傷跡を最小限にします。
放置で起こりやすい変化(時間軸で)
初期:小さなしこり。触れると可動性があり、中央に黒い点(開口部)が見えることも。
増大期:ゆっくり大きくなり、皮膚が薄く伸びる・テカる・毛穴が広がる。圧迫で内容物が出ることもありますが治療ではありません。
炎症期:皮膚常在菌が増殖しやすくなり、赤く腫れて熱感・疼痛。悪臭を伴う排出。自壊(自然破裂)で一時的に小さく見えても、袋は残るため再燃します。
慢性化:炎症と鎮静を繰り返し、瘢痕化・色素沈着・皮膚の変形(陥凹/肥厚)が固定化。
肌への具体的な影響(機能面・見た目の両方)
見た目:
ふくらみ・左右差、毛穴の拡大、赤み(血管拡張)、茶〜褐色の色素沈着(PIH)。
破裂後はへこみ(陥凹瘢痕)や盛り上がり(肥厚性瘢痕・ケロイド)。
皮膚機能:
皮膚が薄く傷つきやすい/衣服と擦れて出血しやすい。
二次感染で蜂窩織炎(皮膚の広い炎症)へ進展することも。
生活の質:
痛み・悪臭・衣類の汚れ、人前での不快感。
顔・首・耳たぶなどは輪郭変形やピアスホール変形が残ることがあります。
感染・破裂時に起こりうること
強い痛み・はっきりした腫れ・発熱。
膿の貯留(膿瘍)→局所麻酔で切開排膿が必要。
抗生剤で炎症コントロールは可能ですが、袋(被膜)が残る限り再発します。
放置・自己圧出は炎症拡大と瘢痕悪化のリスク。
部位別の注意点
顔面(鼻・頬・顎):血流が豊富で炎症が広がりやすく、赤み・色素沈着が長引きやすい。傷跡デザインが重要。
耳たぶ:内容物が溜まりやすく再燃を反復。形態変化が残りやすい。
背中・肩・胸:張力が強く肥厚性瘢痕・ケロイドが出やすい。術後のテーピング・圧迫・紫外線対策が鍵。
鼠径部・腋窩:摩擦・汗で炎症反復しやすい。
「自然に治る?」よくある誤解
× 絞れば治る:一時的に小さく見えても、袋が残るため再発。細菌侵入で炎症悪化の危険。
× 抗生剤だけで根治:炎症は和らぎますが被膜は消えないため、再燃します。
△ 放置で縮むことも稀にありますが、再発・破裂リスクは残ります。
形成外科の役割:傷跡を最小限にする治療設計
根治手術(被膜ごと摘出):大きさ・部位・炎症の有無で術式を選択。
炎症が強い場合:まず切開排膿で痛みと腫れを軽減→炎症が鎮静してから計画的に摘出。
皮膚割線(テンションライン)に沿う切開、真皮縫合+表皮縫合(層々縫合)で創部の緊張を分散。
内容が飛び散らないよう無破裂摘出を心がけ、再発を予防。
病理検査:似た見た目の病変(脂肪腫、皮様嚢腫、稀な腫瘍)との鑑別と安全確認のため、適宜提出します。
美容皮膚科の役割:術後の「きれいな仕上がり」を後押し
瘢痕ケア:テーピング/シリコンジェル、摩擦と紫外線の回避、保湿。
色素沈着ケア:UV対策、低刺激の外用スキンケア設計。
再発予防の生活アドバイス:擦れやすい部位の衣服選び、清潔・保湿、自己圧出の回避。
受診の目安
痛み・赤み・熱感がある、悪臭や排出が続く。
同じ場所で腫れを繰り返す。
顔・耳たぶ・首など目立つ部位、または旅行・イベント前で悪化させたくない。
糖尿病などで感染リスクが高い方。
当院での方針
まずは診察で大きさ・炎症の程度・部位を評価し、最適なタイミングと術式をご提案します。
炎症が強い場合は痛みを和らげる処置で速やかにコントロールし、傷跡を最小限にするタイミングで根治摘出を行います。
よくある質問
Q. 仕事はいつからできますか?
A. 多くは日常生活・デスクワークは翌日から可能です(部位・大きさによります)。運動や入浴は指示に従って再開しましょう。
Q. 傷跡は目立ちますか?
A. できる限り皮膚割線に沿ったデザインと層々縫合で目立ちにくくします。赤みや色素沈着は数か月かけて落ち着き、必要に応じて瘢痕ケアを追加します。
Q. 同日に完全摘出できますか?
A. 非炎症時は可能なことが多いです。炎症が強いときは二段階(排膿→後日摘出)が安全で、仕上がりも良くなります。
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