要点まとめ
こすれ・圧迫・湿気・皮脂/汗・毛の成長が重なる部位は炎症(赤み・腫れ・痛み・熱感・膿)を起こしやすい
炎症期は無理にしぼらない/押さないのが鉄則。まずは炎症を落ち着かせ、再発防止は被膜ごと摘出で行います
顔面のTゾーンや鼠径・腋窩などは細菌感染が広がりやすく合併症に注意が必要です
炎症を起こしやすい代表部位と理由・注意点
1)顔(鼻・眉間・頬、アゴ/Tゾーン)
理由:皮脂分泌が多く、マスクやメイクで長時間の湿潤・閉塞が起こる。触り癖・圧出で被膜が破れやすい
注意:鼻〜上口唇周囲は血管網が豊富で、腫れが急速に拡大することあり。早めの受診を
2)頭皮
理由:毛の密度が高く、シャンプー摩擦・ヘルメットや帽子の圧迫・汗が誘因
注意:化膿すると拍動痛や広範囲の腫脹に。再発防止には小切開+被膜摘出が有効
3)耳周り(耳たぶ・耳後部)
理由:マスク紐・メガネの局所圧迫、ピアス孔周囲の角化
注意:耳たぶは膿瘍化しやすい。ピアスは一時的に外し、早期に処置を
4)首・うなじ
理由:シャツの襟、ネックストラップのこすれ+皮脂
注意:切開部は瘢痕が伸びやすいため、創方向や縫合に形成外科的配慮が必要
5)背中・肩甲部・胸
理由:皮脂+リュック・下着・寝具の長時間圧迫・摩擦
注意:背中は腫れが大きくなってから受診されがち。早期治療で創を最小に
6)腋窩(わき)
理由:汗・除毛・デオドラントによる刺激、衣類との摩擦
注意:化膿が反復する場合は化膿性汗腺炎などの鑑別が必要。自己処置で長引かせない
7)鼠径部・恥骨部・陰部周囲
理由:蒸れ・下着の圧迫・剃毛で毛穴が詰まりやすい
注意:デリケートで痛みが強く生活に支障。早めの抗菌薬や切開排膿で短期化を
8)臀部・仙骨部(座るところ)
理由:長時間の座位・体圧、汗・摩擦
注意:進行すると膿瘍や瘻孔化。座位の負担軽減と再発予防の手術設計が重要
こうなったら炎症のサイン
赤く腫れて熱っぽい/ズキズキ痛む
触るとぶよぶよし、中心から膿や臭い分泌物が出る
急に大きくなった、周囲まで硬くなってきた、発熱を伴う
→ 圧出・針刺し・芯抜きグッズは厳禁。被膜が破れて炎症が悪化し、瘢痕や再発の原因になります。
当院(形成外科・美容皮膚科)の診療の流れ
診察・鑑別:粉瘤の典型像か、脂肪腫・化膿性汗腺炎・毛包炎など他疾患かを確認
炎症期の初期対応
軽度:抗菌薬内服/外用+消炎鎮痛
膿が溜まっている:局所麻酔下の切開排膿で痛みと腫れを速やかに軽減
圧出のみでは根治しません
再発予防の根治治療(炎症が落ち着いてから)
被膜ごと摘出(くり抜き法/小切開摘出/紡錘形切除など)
部位・サイズ・皮膚の張力線(Langer線)を踏まえた形成外科的デザインと縫合で目立ちにくい創に
創ケア・瘢痕予防
テーピング、保湿
よくあるご質問
Q. 炎症中でも取れますか?
A. 強い炎症中は被膜が脆く取り残しが出やすいため、まず炎症を鎮めてからの摘出を基本とします。膿瘍は先に切開排膿を行います。
Q. 傷跡は目立ちますか?
A. 部位の張力・体質で差が出ます。胸骨部・肩・下顎角などはケロイド/肥厚性瘢痕に注意し、予防的テーピング等を併用します。
Q. 保険は使えますか?
A. 医療上の必要がある場合(感染・疼痛・機能障害など)は健康保険の適用対象です。美容目的の小病変は自費になることがあります。個別にご案内します。
ご自宅での注意(再発・悪化を防ぐ)
触らない・押し出さない・針で刺さない
蒸れを避け、通気性の良い衣類を選ぶ。運動後は汗を流す
剃毛は低刺激の方法で(電気シェーバー+シェービング剤)
リュックや帽子・ヘルメット等の圧迫時間を短く
繰り返す腋窩・鼠径の炎症は早めに受診(他疾患の可能性あり)
受診の目安
48時間以上改善しない痛み・腫れ
急速な増大、発熱、広がる赤み
顔(鼻・上口唇〜頬・目周り)やデリケートゾーンの腫れ
仕事・日常生活に支障が出ているとき
まとめ
粉瘤は体のどこにでもできますが、こすれ・湿気・圧迫・皮脂・毛が重なる部位(顔Tゾーン、頭皮、耳周り、首、背中、腋窩、鼠径・陰部、臀部など)で炎症化しやすいのが特徴です。
炎症期は自己処置を避けて早期受診、根治は被膜ごとの摘出が基本。形成外科的配慮で機能と見た目の両立を目指します。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
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