形成外科(Plastic Surgery)は、身体の形態や機能を回復・改善することを目的とする外科の一分野です。病気、怪我、先天的な異常などで生じた身体の変形や欠損を治療し、患者のQOL(生活の質)の向上を目指します。美容的な改善を行う美容外科と異なり、治療目的が大きな特徴です。


形成外科の目的と役割

  1. 身体の形態の回復

    • 事故や手術による外傷、先天性疾患による異常の矯正。
  2. 機能の改善

    • たとえば、眼瞼下垂の治療では視界の回復、熱傷後の治療では関節の可動域の維持・改善。
  3. 外見的な問題の緩和

    • 外見の改善により、患者の心理的ストレスを軽減し、社会生活の質を向上させることも重要です。

主な治療分野

  1. 先天性疾患の治療

    • 唇裂・口蓋裂や多指症、耳介の奇形など、先天的な異常の矯正手術。
  2. 外傷・事故の治療

    • 熱傷や交通事故による顔面・手足の外傷の治療。皮膚移植や瘢痕(はんこん)形成の改善も行います。
  3. 腫瘍・がん切除後の再建

    • 乳がんなどの手術後に行う乳房再建、皮膚がん切除後の修復。
  4. 瘢痕(はんこん)やケロイド治療

    • 傷あとやケロイドを目立たなくするための手術・治療。
  5. 神経や血管の修復

    • 手の外科手術として、手根管症候群や顔面神経麻痺の治療も含まれます。

形成外科と美容外科の違い

  • 形成外科:治療目的で、保険が適用される場合が多い。形態や機能の回復が目的。
  • 美容外科:見た目の改善が目的で、多くの場合は自由診療となります。

手術の例

  • 皮膚移植:熱傷や外傷で失われた皮膚を再建するための手術。
  • 乳房再建:乳がん手術後に、シリコンインプラントや自家組織で乳房を再建。
  • マイクロサージャリー(顕微鏡手術):小さな血管や神経を縫合し、指の再接着や皮弁移植を行います。

使用する技術

  • 皮弁(フラップ):周囲の皮膚や組織を移動させて欠損部を補う手法。
  • マイクロサージャリー:微細な神経や血管を縫合する技術。
  • レーザー治療:ケロイドや傷跡、皮膚の色素異常の改善に使用。

まとめ

形成外科は、外傷や先天性異常の治療から、腫瘍切除後の再建手術まで、身体と心の回復を支える重要な分野です。病気や事故で生活の質が低下した人々にとって、機能と外見の改善は大きな助けになります。

参考情報

  • 手術内容や適応条件については医療機関によって異なります。信頼できる医師に相談することが重要です。

 

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