概要

粉瘤(ふんりゅう・表皮嚢腫)は、皮膚の下に袋(嚢腫)ができ、角質や皮脂がたまっていく“良性のしこり”です。鼻背(鼻すじ)や鼻翼、眉間(みけん)は皮脂腺が豊富で、毛穴の出口が詰まりやすいため粉瘤ができやすい部位。放置しても自然に消えることは少なく、袋ごと摘出しないと再発を繰り返しやすいのが特徴です。


鼻・眉間にできた場合の“特有のリスク”

1)感染・腫れが強く出やすい
皮脂分泌が活発なエリアのため、細菌が増えやすく、赤く腫れて痛む「炎症性粉瘤」(いわゆる化膿)に移行しやすい傾向があります。

2)瘢痕(傷跡)が目立ちやすい
顔の中央は目線が集まりやすく、皮膚の張力(R.S.T.L.:皮膚割線)が複雑。切開方向や縫合デザインを誤ると、わずかな段差や赤みでも目立ちます。形成外科的なデザインと縫合法が重要です。

3)軟骨・血管への配慮が必要
鼻は軟骨・血流が関与する立体構造。過度な圧迫や自己処置(つぶす・押し出す)は、感染拡大や組織ダメージの原因になります。


見た目のサイン

  • 「皮膚の下にコロコロ動く丸いしこり」

  • 中央に黒い点(開口部)が見えることがある

  • 臭い内容物が出ることがある(押し出しは厳禁)

  • 炎症時:急に赤く腫れて熱感・痛み・脈打つような痛み


ニキビや他のしこりとの違い(鑑別)

  • ニキビ(毛包炎):数日〜数週で変化しやすい。袋状構造はなし

  • 稗粒腫:白い米粒大、浅い位置で内容物が固い

  • 脂腺増殖症:黄色〜肌色の小丘疹、中央陥凹が目立つことも

  • 脂肪腫:やわらかく深部、黒い点は基本なし
    見分けがつきにくい場合は、触診や必要に応じた画像検査で評価します。


治療方針(形成外科・美容皮膚科)

基本は「嚢腫壁(袋)まで完全摘出」

  • 小切開摘出:開口部やシワの流れに沿って数mm〜の切開で袋ごと摘出

  • くり抜き法(パンチ法):状態・サイズ・位置により選択

  • 炎症時は段階治療:強い腫れ・痛みがあるときは
    1)切開排膿・洗浄+内服/外用で炎症をコントロール
    2)腫れが引いてから根治摘出
    ※炎症真っ最中の「無理な全摘」は合併症・傷跡リスクが上がります。

傷跡を目立ちにくくする工夫

  • 皮膚割線・鼻の陰影に沿った切開線設計

  • 立体構造を保つ層ごとの繊細な縫合

  • 早期からのテーピング紫外線ケア、創部の保湿

  • 赤み・色素沈着が残った場合は、時期を見て外用などを提案


当院での術後経過の目安

  • 所要時間:小〜中型で約15〜30分(状態により変動)

  • ダウンタイム:腫れ・内出血は数日〜1週間程度

  • 抜糸:7日目前後

  • メイク:当日〜翌日から創部以外、抜糸後は創部も可(指示に従ってください)


よくあるご質問

Q. 痛みは?
A. 局所麻酔を用います。術中の痛みは最小限に、術後は内服鎮痛薬でコントロール可能な範囲です。

Q. 再発はしますか?
A. 袋の取り残しがあると再発します。当院では拡大視・丁寧な鈍的剥離で再発リスクを抑えます。

Q. 自分で押し出してもいい?
A. 厳禁です。感染拡大・瘢痕化の原因になります。

Q. 保険は使えますか?
A. 医学的適応(感染・痛み・機能障害・増大傾向など)がある場合は保険適用となることがあります。詳細は受付でご案内します。


受診のタイミング(チェックリスト)

  • 鼻・眉間に3週間以上続くしこりがある

  • 繰り返し腫れて痛む/膿が出る

  • しこりが徐々に大きくなっている

  • 見た目が気になる(メイクで隠しにくい、写真で目立つ 等)
    → いずれかに該当すれば、早めの受診・計画的な摘出をおすすめします。


術後ケアのポイント

  • 指示どおりの洗顔・入浴・外用(擦らない)

  • テーピングで創部の張力をコントロール

  • 最低でも3か月間のUVケア(帽子・日焼け止め)

  • 赤みや色素沈着は時間とともに改善。必要に応じて美容皮膚科的治療を併用


まとめ

鼻や眉間の粉瘤は、感染しやすく傷跡が目立ちやすい“難所”です。形成外科的配慮に基づく適切なタイミングでの完全摘出と、術後のきめ細かなスキンケアが仕上がりを左右します。しこりに気づいたら、まずは自己処置を避け、専門医にご相談ください。

 

 

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