粉瘤は、皮膚の下に袋(嚢腫)ができ、角質や皮脂がたまる良性のしこりです。袋が破れて内容物が皮下に漏れる、あるいは皮膚表面に出てしまうと、強い悪臭を伴う排出・赤み・腫れ・痛みが急に悪化します。
適切な応急処置と、「炎症期の処置」と「落ち着いてからの根治手術」を分けて行うことが、早い改善と再発予防の鍵です。


まずはこれだけ!自宅での応急処置(破裂当日〜受診まで)

  1. 触らない・絞らない
    さらに袋が破れて炎症が広がります。無理な圧出は禁物です。

  2. 流水でやさしく洗う
    石けんの泡を乗せる程度でOK。こする必要はありません。

  3. 清潔なガーゼで覆う
    滲出液が出る間は、ガーゼ+テープで軽く保護。1日1〜2回交換。

  4. 冷やす(痛み・腫れ対策)
    清潔な保冷材をタオル越しに10分程度。凍傷に注意して繰り返し可。

  5. 市販の鎮痛薬は可
    アレルギーがなければアセトアミノフェン等を目安量で。
    ※妊娠中・授乳中・持病のある方は自己判断せずご相談ください。

  6. メイク・ボディクリームは避ける
    毛穴を塞ぐ可能性があるため、患部は“清潔・ドライ・非密閉”が原則。

やってはいけないこと:針で刺す/強く押す/自己判断の抗生物質内服/消毒液の反復塗布(皮膚刺激で治りが遅れます)


受診の目安(当日〜48時間以内を推奨)

次のいずれかに当てはまる場合は早めの受診をおすすめします。

  • 強い痛み・腫れ・熱感、悪臭の排出が続く

  • 背中・顔・鼠径部・腋窩など摩擦が強い部位

  • 発熱(目安 37.5℃以上)、悪寒、だるさ

  • 糖尿病・免疫低下・妊娠中・抗凝固薬内服中

  • 顔面(鼻・眉間・まぶた・口周り)—瘢痕を残しやすく注意


形成外科・美容皮膚科での治療の流れ

1)炎症が強いとき(急性期)

  • 切開・排膿(I&D):たまった内容物と膿を出し、圧を下げます。

  • 洗浄・ドレナージ:必要に応じて短期間チューブ留置。

  • 内服治療:細菌感染が疑われる場合は抗菌薬・消炎鎮痛薬を処方。

  • 創管理:ガーゼ交換やシャワーのタイミングをご案内します。

※袋そのものは炎症期には完全に取り切れないことが多く、
無理な摘出は傷跡や再発リスク増大につながるため行いません。

2)炎症が落ち着いたら(通常 2〜6週間後)

  • 根治手術(嚢腫摘出):袋(被膜)ごと取り除くことで再発を予防

  • 切開法 or くり抜き法など、部位・大きさ・瘢痕の目立ちやすさを考慮して方法を選択。顔面などは形成外科的縫合で傷あとを最小化します。

  • お仕事・生活スケジュールに合わせて抜糸日・創ケアを調整します。


ケアのポイント(受診後)

  • 入浴・シャワー:医師の指示があれば当日から短時間シャワー可。創部はこすらず、水分を軽く拭き取るだけ。

  • ガーゼ交換:1日1回、滲出が多い間は追加で交換。

  • 運動・飲酒:腫れが強い間は血行を促す行為(長風呂・飲酒・激しい運動)を控える。

  • メイク再開:テープ・抜糸の状況に応じて個別にご案内(顔は特に瘢痕管理が重要)。

  • 色素沈着・瘢痕ケア:紫外線対策、必要に応じテープ固定で管理。


よくある質問(FAQ)

Q. 悪臭が強いのですが、感染でしょうか?
A. 粉瘤の内容物(角質・皮脂)は元々においが強いため、感染がなくても臭うことがあります。発熱・増悪する痛み・広がる赤みがあれば感染合併を疑い、受診してください。

Q. 破裂後に自然に治りますか?
A. 痛みや腫れは一時的に落ち着いても、袋が残る限り再発します。根治には嚢腫摘出が必要です。

Q. 傷跡が心配です。
A. 顔やデコルテなどは形成外科的縫合で縫い方・糸・テンションを調整し、傷あとと形の仕上がりに配慮します。術後はテーピング・UV対策でさらに目立ちにくくします。

Q. 仕事が忙しく、何度も通えません。
A. まず急性期の処置(短時間)で痛みと腫れを軽減し、その後の根治手術は落ち着いた時期に短時間で行います。スケジュールはご相談ください。


受診前のチェックリスト

  • 破裂した日時/痛み・腫れの変化

  • 発熱の有無、服用中の薬(特に抗凝固薬・免疫抑制薬・糖尿病薬)

  • アレルギー歴(薬剤・テープ)

  • 妊娠・授乳の可能性

  • 顔面や摩擦の強い部位かどうか


当院の特長

  • 形成外科の視点で瘢痕を最小化:切開ライン・縫合法・術後ケアを最適化

  • 美容皮膚科的フォロー:色素沈着・赤み対策、テーピングで仕上がり配慮

  • 再発予防を重視:炎症期の無理な摘出は避け、最適タイミングで嚢腫摘出を実施

 

注意:本ページは一般的な情報提供です。実際の診断・治療は、部位・大きさ・症状・既往歴により異なります。気になる症状があれば自己処置に頼らずご相談ください。

 

 

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