顔や体にできた「できもの・しこり」、気になりませんか?
粉瘤(アテローム)
粉瘤はアテロームともよばれることもありますが、正式には表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)といいます。
最も一般的に認められる皮膚良性腫瘍の一種で、体中のどこにでもできる可能性があります。特に背中や首、顔はできやすい場所です。
粉瘤(アテローム)の原因
はっきりした原因は分かっていません。
図に示すように、表皮に連続した嚢腫(のうしゅ:袋状の構造を有したできもの)を形成しています。また、嚢腫の袋状の構造物は表皮からできています。
嚢腫の内容物は角質(垢:アカ)からなり、圧迫すると悪臭のある内容物を排出することがあります。
毎日体を洗って清潔にしていても、粉瘤(アテローム)を生じることがあります。
手のひらや足裏では小さな怪我の後に皮膚がまくれこんで袋状になって生じることもあります。
放置するとどうなる?
粉瘤(アテローム)は悪性腫瘍(がん)ではないので、放置しても命に影響を及ぼすことはありません。
しかし、徐々に嚢腫(表皮でできた袋)内に角質(垢:アカ)が溜まり、大きくなっていきます。10cm以上になることも稀ではありません。大きくなってから切除すると、傷跡が目立ってしまうことがあります。
また、嚢腫内に細菌感染を起こすと、痛みを伴うことになり、通院回数も極端に増えます。
普通は痛みなどの症状がない為に放置されがちですが、感染などを引き起こす前の小さな時に摘出することをお勧めしています。
治療について
●痛みや皮膚の赤みがない時
粉瘤を完治させるためには、嚢腫壁(袋状の構造物)を取り残しがないように完全に摘出する必要があります。摘出方法には2つの方法があります。
1.単純切除
傷が目立ちにくい方向に皮膚を紡錘形(ラグビーボールの形)に切開し、嚢腫壁を肉眼的に確認しながら周囲の組織から剥離して摘出します。嚢腫壁の取り残すことはごく稀で、再発することはほとんどありません。
2.くりぬき法
嚢腫の中央部分の皮膚に直径3~4mm程度の穴をあけます。その穴から嚢腫壁を取り出す方法です。傷跡が小さくて目立ちにくいのが利点です。
嚢腫壁が周囲と強度に癒着している場合などは適応外になります。
●痛みや皮膚の赤みがある時
細菌感染を引き起こしています。
細菌感染が軽度であれば、抗生剤物質などの飲み薬で炎症を抑えます。
細菌感染がひどくなると、嚢腫内に膿が溜まります。こうなると飲み薬のみでは炎症を抑えることができず、局所麻酔下に嚢腫に切開を加え、膿を出す治療(切開排膿処置)が必要になります。
切開排膿処置後は、炎症が落ち着くまでは頻回の通院加療が必要になります。
炎症が落ち着いても、嚢腫壁(袋状の構造物)は残っており、やがて炎症の再発を認めることがあります。炎症を生じて痛くなる前に手術で嚢腫壁を摘出する必要があります。